荒井修

私は親方から仕立てをぜんぶ習って帰って来たんだけど、絵はこれといって習ってなかった。で、独学でやっちゃったんです。箔押しから何やら。だから、あたしに絵を教えたという人はあんまりいないの。ほとんどいない。ただ、しいていえば、感覚的なものはたぶん、私の絵の師匠は、玉三郎さんかもしれない。 坂東玉三郎という人に、「もうちょっと、ここを、こう逃げて」とか、「色は、そうじゃない方がいいんじゃない」とかって、話してもらいながら、最初はずいぶんいろいろ教わったんです。